第2回電王戦をふりかえって・・・

第2回電王戦のために3月末から毎週土曜日がツブレてしまった・・・
そのぐらい見ごたえのある勝負だった。そういう人も多かったろう。
第1局のコールくんの圧勝を見て、「こりゃプロの方が断然強いわい」
と思ったものだが、第2局のサトシンの敗戦から雲行きが怪しくなってきた。
第3局の船江さんのシーソーゲームは迫力あったなぁ。
コンピューターも「まちがえる」、しかしそれにめげたり後悔したりしないで
淡々とそのときそのときの最善手を指してくる。
ターミネーター」の名にふさわしい・・・
で、最後はきれいに寄せきって見事なコンピューターの勝利!
7冠とったころの羽生マジックをみせつけられているようだ。
第4局は往年の塚田さんが魅せた!人間の泥臭さ強さを!!まるで米長流!!!
汚い棋譜を残して批判する向きもあるだろうが、私はそうは思わない。
記者会見でのあの塚田さんの男泣きがすべてを物語っているのだ。
そう「団体戦でプロ側の負け」をなくすため最後の三浦さんにタスキを渡したのだ!
で、第5局、知の殿堂東大が670台ものマシーンを使って
A級三浦さんに挑む。結果は、GPUの圧勝・・・
三浦さんの作戦負けとはいえ、これは・・・
だって、三浦さんがGPUなんかブッとばして、「やっぱプロ中のプロはちがう!」
と見せつけてくれるものと信じていたからなぁ・・・
でも、完敗だった・・・あぁ・・・


結局、勝ったのは入念な下準備をしてコンピューターの隙を突いたコールくんだけ。
これは・・・この結果は・・・


あぁ、カスパロフが負けたあのディープブルーの衝撃と恐怖を思い出したよ。
「ルールさえ与えれば」もうコンピューターの方が人間なんか及びもつかないほど
圧倒的に強いんだ・・・
なにせ、400mをヒトとクルマがエンジンかける時間も含めて
競争しているようなもんだ。クルマにエンジンかかる終盤になりゃ、
人間さまは逆立ちしたってかなやしねぇ。エンジンかかる前にどんだけ差を
つけられるかっていう・・・


ただ、プロ側にはエキシビジョンみたいな感覚があったのかもしれん。
そればっかりやってるわけじゃなくて、他の棋戦がメインだから。
一方、コンピューター側はそれを生業にしてる人もいるわけで「本業」そのものか。
そういや羽生が言ってたっけかな、「もしやるんだったら、他の棋戦をすべて
キャンセルしてそのコンピューターとの戦いに相当な時間をかけて準備した上で
臨まないといけない」みたいなことを。
むろん、詰将棋を作るとかそういうレベルにコンピューターはないわけで
ただ1つの面だけを見て判断してはいけないわけだが、
ある意味、その1つの面を究極的に進化させてみせてくれたわけだ。これはすごいこと。
特化した機能をもつ道具を人間はこれまでも作り出してきた。
ヒトはどうやっても鳥のようには飛べないし、チーターのようには走れない。
しかしね、こういうことなんだ。
海外に行くには飛行機に乗るし、地続きで離れたとこなら車を使う。
いまどき、わざわざ「歩きで東海道を」なんてのはなにかのイベントでもない限り
誰もやらんわけさ。アメリカ行くのにイカダで行く人いるかフツウ。
そして、クルマとジャンボジェットじゃ機能が違う。
そういった機能を道具に代行させるという形で文明は発展してきた。
それがクロマニヨンと絶滅したネアンデルタールの違いだとも言われる。
この21世紀の時代に「知のモジュール化」に成功した、ということを
高らかに宣言しているのだよ、この結果は!
つまりだね、火星にこの探索ルーチンをつんだアシモを送って火星探査させるとか
そういう使い方はできるわけだ。もちろん3Dプリンターももっていって
それで火星基地もつくっれっぞ!!そういう意味ではプロ棋士を踏み台にして
新たな時代を切り開いたと言えるのかもしれん。


そういう時代が今幕をあけた
ぼくらはその歴史の転換点をいま目の当たりにしたんだ